(以下、週刊新潮 2010年7月29日号(2010/07/22発売)の櫻井よし
こ氏の記事より)
「政府は外国人参政権を諦めていた
民主党政権が永住外国人への参政権付与問題について極めて重要
な閣議決定を行っていた。従来、民主党議員の半数近くが熱心だ
った外国人参政権推進の立場をきっぱりと否定して、参政権は認
めないとの立場を、6月4日の閣議で、公式に打ち出していたのだ
。
これは、自民党の山谷えり子参院議員が5月27日に提出した質問主
意書に対する政府答弁に書き込まれた内容だ。閣議決定は政府決
定として最も重い意味を持つ。全閣僚の署名を以て成立するもの
で、菅直人、千葉景子、岡田克也各氏も、無論、署名した。
答弁書は95年2月28日の最高裁判決の本論を引用してざっと次のよ
うに書かれている。
「主権が『日本国民』に存するものとする憲法前文及び一条の規
定に照らせば、国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有す
る者を意味することは明らかである。とすれば、公務員を選定罷
免する権利は、日本国民のみをその対象とし、我が国に在留する
外国人には及ばないものと解するのが相当である」
日本国民は日本国籍を有する日本人であり、公務員を選定罷免す
る権利すなわち選挙権は日本国民のみにあり、外国人には与えら
れないと、明言している。地方参政権についても、最高裁判決の
本論を引用して、次のように書かれている。
「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の
吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙する。『住民
』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味す
るものと解するのが相当であり、我が国に在留する外国人に対し
て、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障し
たものということはできない」
答弁書はこのように最高裁判決の本論を引用して「政府も同様に
考えている」と結ばれている。
傍論部分を切り捨てた
最高裁判決には、今回民主党が引用した本論に加えて、「地方公
共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を
講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが
相当」などとする傍論が書き込まれ、それが外国人参政権推進論
の根拠とされてきた。だからこそ、今回政府答弁書がその傍論部
分を切り捨てたことが重要な意味を持つのだ。
傍論の作成に携わった最高裁元判事園部逸夫氏は、判決から15年
後の今年、「戦前戦中派の裁判官は、在日韓国・朝鮮人に対する
想い」や「彼らが戦時中に強制違行されたという特殊な事情への
考慮」を共有するとし、それ故に傍論を加えたと語った。
園部氏の、在日の人々は戦前戦中に強制連行されてきたとの認識
は事実関係において間違っている。にも拘らず、傍論は、国内の
在日勢力及び韓国政府に参政権への希望を持たせる結果となった
。
一方、党内で意見が二分されたままの民主党では、小沢一郎氏が
韓国で公約ともとれる発言をし、党内の反対論を封じ込めるため
に内閣提出の閣法としてこの問題を扱う方針を示した。閣法であ
れば、党所属議員は全員賛成しなければならないとの論法で、可
決を目指そうとしたのだ。(以下略)
(駐: ここまで、週刊新潮 2010年7月29日号(2010/07/22発売)
定価340円(税込)の櫻井よしこ氏の記事より)
(以下、http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-961.htmlよ
り抜粋転載。)
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「山谷えり子参議院議員の質問趣意書」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/174/syuh/s174077.htm
質問主意書 質問第七七号
【永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書】
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成22年5月27日山 谷 え り 子
参議院議長 江田五月 殿
永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書
民主党は党の「政策集インデックス二〇〇九」の中で「永住外国
人の地方選挙権」について明記するとともに、同党の小沢幹事長
が「これは政府としてきちっと対応すべき問題だ」と発言するな
ど、永住外国人に対して地方参政権を付与することに積極的であ
る。
永住外国人は本国への忠誠義務を負っており、いざその本国とわ
が国との間で紛争が起こると、彼らは本国への思いを優先するで
あろう。
こうした日本の安全保障に責任を持たない人たちに地方参政権を
与えることは最終的に国の根幹を揺るがすことにもなりかねない
と危惧する。
そこで、以下のとおり質問する。
一 外国人に参政権を付与することは憲法違反であると考えるが
、憲法第十五条第一項及び第九十三条第二項の規定の政府解釈を
示されたい。
二 長崎県対馬市議会及び沖縄県与那国町議会が相次いで永住外
国人に地方参政権を付与することに反対する意見書を採択した。
いずれも国防の要となる島である。
対馬については、韓国資本が自衛隊施設の隣接地や旧日本軍の軍
港等を相次いで買収している。
また、与那国島については、中国及び台湾との最前線という重要
な位置を占め、その安全保障上の危機から島民が自衛隊誘致の声
を上げるほどであり、昨年八月の町長選挙では誘致賛成派の現職
町長が百三票差で辛勝した。
いずれも、もし永住外国人が大挙して移住すれば、選挙によって
島を実質的に支配する恐れもあり、わが国の安全保障を左右する
危険がないとは言えない。
先般、私が「防衛上の重要拠点における外国資本進出に関する質
問主意書」(第一七三回国会質問第二二号)の中で「外国人土地
法」の活用について質したのに対し、政府は同質問に対する答弁
書(内閣参質一七三第二二号。平成二十一年十一月二十日閣議決
定)の中で「外国人等による自衛隊施設の周辺の土地の買収が部
隊等の適切な運営に支障を及ぼしているとは認識していない」と
答弁した。
しかし、今回の対馬市議会及び与那国町議会における永住外国人
への地方参政権付与反対の意見書の採択は対馬及び与那国と政府
の認識との間に大きな乖離があることを意味すると考えるが、こ
れについて政府の見解を示されたい。
三 本年四月二十日現在、三十五都道府県議会が永住外国人への
地方参政権付与に反対する決議を採択している。かつて賛成だっ
た地方自治体も反対に回っている。政府はこうした地方自治体の
動きをどう考えるか。
四 多くの地方自治体において反対の意見が高まっているにもか
かわらず、政府与党が永住外国人への地方参政権付与を推進しよ
うとする意図は何か明らかにされたい。
右質問する。
==============
答弁書 答弁書第七七号
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/174/touh/t174077.htm
内閣参質一七四第七七号
平成二十二年六月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫
参議院議長 江 田 五 月 殿
参議院議員山谷えり子君提出永住外国人への地方参政権付与に関
する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員山谷えり子君提出永住外国人への地方参政権付与に関
する質問に対する答弁書
一について
憲法第十五条第一項及び第九十三条第二項の規定の趣旨について
は、最高裁判所平成七年二月二十八日判決において、
「憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が
国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについ
て考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員
の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならな
いところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び
一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは
、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明
らかである。
そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条
一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規
定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないも
のと解するのが相当である。
そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項にお
いて、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその
他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するもの
と規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基
づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国
の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考える
と、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内
に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり
、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の
長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということは
できない」と判示されており、政府も同様に考えているところで
ある。
二から四までについて
永住外国人への地方参政権の付与の問題については、我が国の制
度の根幹にかかわる重要な問題であることから、我が国の国境付
近に位置している対馬市や与那国町においては地理的な環境から
住民に不安を与えるとの認識があるなど、地方公共団体において
も多くの意見があることは政府としても十分に理解しており、こ
うした関係各方面の意見も十分に踏まえつつ対応する必要がある
。
===============
この「答弁」は、当時の鳩山内閣が、閣議で正式に承認・決定し
、参議院議長である江田五月氏に宛て提出したものです。
つまり、民主党政府の公式見解にあたる。
閣議決定は政府決定として最も重い意味を持つ。全閣僚の署名を
以て成立するもので、菅直人、千葉景子、岡田克也各氏も、無論
、署名している。
その閣議決定において、民主党政府は、
公務員を選定罷免する権利は、日本国民のみをその対象とし、我
が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である
と、6月4日に明言し、文書化し、決定してた。」
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