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はやぶさ帰還狂想曲

月以外の天体に世界で初めて着陸、離陸、往復し、宇宙開発史上最遠の天体でのサンプル採取、持ち帰りを試み、帰還した宇宙機としては人類史上最長の飛行を成し遂げた小惑星探査機「はやぶさ」が、去る十三日、地球への帰還を果した。正確には、はやぶさ本体は燃え尽き、イトカワで採取したサンプルが入っているかもしれないカプセルが、豪州のウーメラ砂漠に降下した。

 この快挙に対し、菅首相は、はやぶさ後継機の開発に関し、急遽推進を示唆するという、見え透いたパフォーマンスを行った。はやぶさ後継機の開発と言えば、先般予算の大幅削減が決定したばかりで、今回の決定は選挙対策以外の何物でもない。しかも発言を注意して見てみると、「予算をつける」とは一言も言っていないのである。

 一方、「二番じゃ駄目なんですか」との迷台詞とともに、スーパーコンピュータ開発予算の縮小をもたらし、あまつさえ、はやぶさ自体を「意味のないプロジェクト」と、後継機の開発予算の仕分けで酷評、JAXA研究員を「無能」と罵倒した蓮舫行政刷新担当相も、自身の過去の言動に対して謝罪も反省もなく、「偉業は国民全員が誇るべきものだ。世界に向かって大きな発信をした」と掌を返す鉄面皮ぶりを発揮した。

 更に、「宇宙開発は、私は直接担当しておらず、今一度流れを確認している」と、自らの責任を回避した挙句、「仕分け結果を何が何でも守るべきだということではない。国民のさまざまな声やご判断は次期予算編成に当然反映されるべきだ」と臆面もなく語った。

 ただし、折角のパフォーマンスも、自身の秘書が痴漢で逮捕されるというニュースの陰に霞んでしまったのは生憎であった。

 はやぶさ帰還の翌日には、サッカー日本代表が、海外のワールドカップで初の勝利をもぎ取り、以降の地上波の話題はそれ一色となる。帰還の生中継もしなかった地上波ということもあり、はやぶさの偉業を隠す目的でもあるのかと勘繰りたくもなるが、ついでに両氏のパフォーマンスを覆い隠す効果も十二分に発揮しているのは皮肉な結果ではある。 (海底人)
.19 2010 論客より comment0 trackback0

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