この運動に入って十数年。大半がマスコミへの抗議や、講演会に参加したり、主催したり、戦争パネル展を開いたりのいわば仲間内の活動だった。今まではそれで済んでいたのよ。自民党政権下ではね。
思えば長閑な時代だったわ。つい半年前の事だというのに何だか夢のよう。ところが民主党が政権を取った今、それでは済まなくなってきたのよ。
迫り来る危機を人々に知らせ、何としても外国人参政権を阻止しなければならない。そう心に決めて仲間と街頭に立ったのは昨年末のこと。そこで私達の感覚がいかに普通の人と懸け離れているか、たっぷり思い知らされることになったわ。長年保守の言語空間の中だけにいて現実社会への働きかけを怠ってきたつけが回って来たって事かしら。
マイクで「朝鮮人は出てけー」「売国奴!」なんて大声で叫べば痛快だろうし、私の大好きなシンプルで美しい日の丸もはためかせたい。でも諦めたわ。だってそれでは一般の人は間違いなく引いて
しまうもの。自己満足の代償が大きすぎるのよ。いいとか悪いとかの問題じゃない。それが現実なのよ。私達の対象は少数の目覚めた人じゃなく、あくまで大多数の洗脳された人なんだから。でなきゃ目的を果たすことはできないわ。
分かりやすい言葉も重要ね。文章でもわざと難解で抽象的な言葉を弄んで悦に入ってる人がいるけど、本当に文章が上手い人というのは、難しい内容を平明な言葉で端的に表現できる人なのよ。簡単な事をわざわざ難しく書く人は多分頭が悪いのを良く見せたいのでしょうね。
初めはなかなかビラを受け取って貰えなくてめげたわよ。ビラを差し出す私をまるで存在しないかの様な顔で通り過ぎていく人々。その後姿に向って「なによ、あんたのために配っているのに。後で気が付いたって遅いんだから」と心で悪態をつく私。
若い女性がわざわざ近寄って来て、外国人参政権反対の幟を指差し「外国人という言葉に抵抗を感じる」と言ったときは唖然としたわ。昔、単に略語に過ぎない外人という言葉が差別語だからと外国人
と言い換えるよう強制された事があったけど、この女性には自分が文化破壊者だという自覚は全く無いみたいね。全くここまで日本人の精神が歪になっていたとは。
それでも何とか分かって貰いたくて、ひたすら頭を下げ、にっこり笑う日々だったわ。こうして街宣は私の自尊心を徐々に蝕んでいったのよ。
でもそれを嘆く余裕や自由がどこにあるの。中国の属国になったら厭でもそんなもの捨てなくてはならないわ。
これは長期戦。私のちっぽけな自尊心なんかに拘って負ける訳にはいかないのよ。
(玲)
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